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性別変更後「母親」に特別養子縁組認定

東京新聞より引用転載

性同一性障害で男性から性別変更した大阪府の三十代女性が結婚後、里親の「母親」として児童養護施設から引き取った男児(3つ)との特別養子縁組を申し立て、大阪家裁に認められたことが二日、女性への取材で分かった。

 GID(性同一性障害)学会は、女性に性別変更した人が、特別養子縁組で法的に母親と認められるのは「聞いたことがない」としており、国内初とみられる。

 性同一性障害のある人の特別養子縁組については、「健全な親子関係が営めるか疑問」などとして、縁組の前段階となる里親申請の時点で難色を示されることもある。GID学会理事長の中塚幹也岡山大教授(産婦人科)は「子どもをほしいと思う性同一性障害の当事者にとって新たな選択肢になる。性や家族の多様性を考える上でも大きな動きだ」と話している。

 女性は二〇〇四年に性同一性障害特例法が施行された後、性別を変更。その後男性と結婚した。

 一〇年、児童相談所で里親になる手続きを進めながら、大阪市の民間福祉団体「家庭養護促進協会」に相談し、研修や面接を受けて一一年春に男児を迎え入れた。嫡出関係となる特別養子縁組の審判を夫婦で大阪家裁に申し立て、一二年冬に認められた。

 性同一性障害の当事者の親子関係をめぐっては、最高裁が昨年十二月、女性から性別変更した男性について、妻が第三者との人工授精で出産した子と嫡出関係を認める初の決定を出した。

 男性から女性に性別変更した人が母親になるための道は、国内では原則的に、子のいる男性と結婚するか養子縁組をするしかない。

 「母親」となった女性は取材に「大変なことが多かったが、逃げずに向き合ってきて良かった。後に続く人が出てきてほしい」と話した。
◆優先順位厚い壁 里親の審査で拒否も

 男性から性別を変更した女性が特別養子縁組を結び、法的に母親になったことについて、性同一性障害の当事者団体は「希望が持てる」と歓迎する。ただ、このような人々の養子縁組をめぐっては、前段階である里親申請の時点で拒否されるケースもあり、母親になるための壁は依然として厚い。

 性別変更した人が母親になる手段の一つには、第三者に子どもを産んでもらう「代理出産」があるが、日本では原則的に実施されておらず、実際には養子縁組などに限定される。

 だが、ある児童相談所の相談員によると、特に小さい子は、養子にしたいと希望する人が多く、里子をあっせんする際に優先順位を付けなければならない。

 相談員は「どんな親が良いか子どもに代わって考えなければならない。性別変更をした人を排除するわけではないが、現実的には一般的な男女の夫婦が選ばれやすい」と指摘する。

 「日本性同一性障害と共に生きる人々の会」の山本蘭代表は「性同一性障害の当事者だと、里子をあっせんするのは無理だと断られることが何度もあった。今回、養子縁組が認められたのは今後の進展につながる」と話した。

 <特別養子縁組> 養護を必要とする乳幼児が別の家庭で養育を受けられるようにする制度で、1988年に始まった。民間のあっせん業者や医療機関が仲介する。養子になるには原則として申立時に6歳未満であることが要件で、家裁の審判を受けなければならない。普通養子縁組と違い実の親との親子関係がなくなり、養親の実子となる。司法統計によると、近年は年間300~400件で推移している。
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